看護師として働いていると、ケアマネと看護師のどちらが上であるか分からなくなる瞬間もあるかもしれません。
結論として、どちらが上かという定義は存在しないですし、優劣も存在しないです。
とはいえ、実際にこれらの声が挙がるということは、年収やメリットデメリットが異なるからであって、本記事ではそれぞれを網羅的に解説します。
ケアマネと看護師はどっちが上?
どんな職業でも、社会に欠かせないから存在しています。
もちろん、ケアマネも看護師も医療・介護業界には欠かせません。
「社会的にどっちが上か?」と一概には言えないですが、しかし年収や難易度は比較できます。
そこでケアマネと看護師の年収と合格率で、どっちが上かを本記事では解説します。あくまで、社会的立場はどちらが上であるかという点には触れません。
ケアマネと看護師の年収はどっちが上?
結論として、平均年収は看護師のほうが上です。看護師のほうが、70万円~80万円ほど年収が高い傾向にあります。
ケアマネの年収
ケアマネの平均年収は、約420万円です。月給は約35万円です。
参照元:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/dl/30kekka.pdf
もちろん、ボーナスや残業代は勤務先によって異なるため、あくまで参考程度に留めておきましょう。
看護師の年収
看護師の年収は、約499万円です。月給は約34万円になります。
なお、看護師の年収については下記の記事を参考にしてください。
月給ではケアマネより低いですが、看護師はボーナスの支給に加えて昇進が見込めます。
また、ケアマネと比較して看護師には夜勤も多いです。
ボーナスや役職、夜勤手当により看護師のほうが年収が高くなります。
ケアマネと看護師の試験合格率「難易度」はどっちが上?
結論として、難易度はケアマネのほうが上です。
なお、ケアマネは国家資格ではありません。
ケアマネの合格率
ケアマネの試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の合格率は、19%と発表されています。
(令和4年)参照元:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/hoken/jissi.html
54,406人が受験して、たったの10,328人しか合格していません。平成30年では、合格率が10%なので、ケアマネの難易度は高めです。
看護師の合格率
看護師の試験の合格率は令和5年では、90.8%と発表されています。
参照元:https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2023/siken03_04_05/about.html
64,051人中58,152人が合格していることから、ケアマネと比較すると看護師の難易度は低めです。
看護師からケアマネに転職するデメリット2つ
- 給料が下がる可能性がある
- 勤務時間外に呼び出されることがある
ここからは、ケアマネに転職する上記のデメリット2つを解説します。
給料が下がる可能性がある
先述したように、看護師の平均年収は約499万円で、ケアマネは約420万円です。
つまり、70万円〜80万円ほど平均年収に差があります。
職場にもよりますが、看護師からケアマネに転職すると給料が下がる可能性も考えられるでしょう。
勤務時間外に呼び出されることがある
ケアマネは、介護を必要とする方や、その家族の相談に乗る仕事です。
つまり、相談があれば勤務時間外でも呼び出されることがあります。
そのため、プライベートの時間に電話が来ることも覚悟しましょう。
看護師からケアマネに転職するメリット3つ
- 体力的な負担が減る
- 夜勤が少なくなる
- 看護師の経験を活かせる
看護師からケアマネに転職する際はデメリットもありますが、上記の大きなメリットが存在することも事実です。
ここからは、看護師からケアマネに転職するメリットを見ていきましょう。
体力的な負担が減る
看護師からケアマネに転職すると、体力的には楽になります。
看護師は患者さんの世話をするため、体力や神経を使います。
しかしケアマネの仕事は、大半が事務作業なため、看護師より体力的な負担は減るでしょう。
夜勤が少なくなる
ケアマネは基本的には日勤であり、夜勤はほぼありません。
看護師は夜勤があり、生活リズムが崩れます。
しかしケアマネは日勤なので、不規則な生活になりません。
看護師の経験を活かせる
ケアマネの転職には、間違いなく看護師の経験を活かせます。
看護師免許を取得し、5年以上の経験があれば、すぐに介護支援専門員実務研修受講試験の受験が可能です。
また、患者さんへ親切に対応してきたことも、介護施設の利用者さんの対応へ活きてくるでしょう。
看護師からケアマネになるには?
看護師からケアマネになるのは、条件としてはそこまで難しくないです。その方法を見ていきましょう。
介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
看護師からケアマネになるには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。
受験資格については、看護師の方なら問題ありません。
介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格は、下記2つのいずれかを満たしている方です。
- 介護施設で指定業務の実務経験が5年以上あること
- 国家資格に基づく実務経験が5年以上あること
つまり看護師免許を取得して、5年以上の実務経験があれば受験可能です。
あとは、介護支援専門員実務研修受講試験に合格すれば、看護師からケアマネへ転職ができます。
ケアマネ試験の看護師免除は2015年に廃止
2014年以前の介護支援専門員実務研修受講試験は、看護師が受験するなら免除される科目がありました。
しかし、こちらの看護師免除は2015年に廃止され、現在では看護師もすべての科目を回答する必要があります。
看護師免除が廃止された背景には、ケアマネージャーの質を高めるという狙いがあります。
「ケアマネと看護師」両方の免許を取得する強み3つ
- アセスメント能力が上がる
- 患者さんに頼られる
- 職に困らない
前提として、看護師とケアマネの2つを取得することは非常に大きなメリットがあります。
アセスメント能力が上がる
看護師もやみくもに患者さんの看護をすればいいわけではなく、患者さんの性格や退院後の生活も含めてアセスメントする必要があります。
しかし、このようなアセスメント能力は、看護師の経験しかない方には身に付きにくいです。
そこでケアマネの免許も取得すると、介護支援専門実務研修により、さまざまな視点でアセスメントできるようになります。
患者さんに頼られる
ケアマネは「患者さんが退院後、自宅ではどんな生活をするのか?」や「どんな問題があるか?」を考えられるようになります。
つまり、退院支援に詳しい看護師として、患者さんに頼りにされます。
退院後の生活に困らないようにするのも看護師の仕事です。
職に困らない
ケアマネの合格率は20%前後と、福祉関係の免許の中でも難易度が高いです。
加えて、看護師の免許があれば鬼に金棒です。
福祉業界も医療業界も人手不足なので、ケアマネと看護師の二刀流なら職に困ることはありません。
ケアマネを取得して看護師を続けるデメリット2つ
看護師を退職する気はないものの、いざというときのためや自分の市場価値を上げるためにケアマネの免許を取得する方もいると思います。
そのような方のために、ケアマネを取得したあとも看護師を続けるデメリットをご紹介します。
仕事量が増える可能性がある
介護療養型医療施設の病院なら、看護師に加えてケアマネとしても仕事を任せられることがあります。
そのときは、当然ケアマネと看護師の両方の免許を持つ方が積極的に選ばれます。
つまり、介護を要する方やその家族の相談に乗ったり、ケアプランを作成したりと、看護以外の業務が増えるかもしれません。
看護師をするだけでも重労働ですが、そこにケアマネの業務も加わると負担は大きくなります。
希望していない部署へ異動になることがある
ケアマネの免許も保有する看護師は、退院調整部署や地域包括支援センターに異動になることがあります。
つまり、看護師として仕事をがんばりたいのに、希望していない部署に飛ばされる可能性があるということです。
どこの業界でも免許や資格を保有する方は重宝されますが、言い方を変えると仕事量が増えます。
そのため、看護師として昇進を目指すなら、異動をお願いされても断る勇気を持ちましょう。
ケアマネを取得して看護師を続けるメリット
ケアマネを取得しても、看護師を続けるメリットは先述した通りです。
- アセスメント能力が上がる
- 患者さんに頼られる
- 職に困らない
ケアマネの免許がない看護師よりも、患者さんの退院後の生活をより具体的にイメージしながら看護できます。
また、退院後の生活について患者さんから質問されても、すぐに答えられます。
今は、免許や資格が物をいう時代です。
つまり、医療・福祉関係の免許を複数保有していると、これから職に困ることはありません。
まとめ:看護師からケアマネになるのは当ブログを読んでから
ケアマネも看護師も、社会には欠かせない職業です。
高齢化社会へ突入している昨今では、ますます重要な職業になっています。
そのため「どっちが上か?」は断言できません。
ただし、年収や難易度を比較するなら、年収は看護師が上で、難易度はケアマネが上です。
社会的にどっちが上ではなく、あなたに向いていたり興味があったりするほうを選べば大丈夫です。
看護師を続けて昇進を目指すのもありですし、これまでの経験を活かしてケアマネへ転職するのもありだと思います。
しかし、後先を考えずに看護師から転職すると後悔する可能性が高いです。
後悔しないためにも、下記の記事を参考に看護師を転職して後悔する方の特徴を知っておこう。
【看護師を転職して後悔する人の特徴】元看護師が後悔しない方法を解説
元看護師が解説しているので、非常に参考になるはずです。