これから看護師を目指す方は、看護師と准看護師のどちらを目指せば良いのか悩む方も多いかもしれません。
しかし、そもそも看護師と准看護師の違いが分からない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、看護師と准看護師の違いや、メリットデメリットをご紹介します。
また、准看護師から正看護師になる方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
看護師と准看護師の違いは「免許の発行元と役割」
看護師と准看護師の大きな違いは、免許の発行元です。
看護師免許は、厚生労働大臣から発行される国家資格になります。
准看護師免許は、都道府県知事から発行されます。
つまり免許が「国から発行されるか?」「県から発行されるか?」が看護師と准看護師の大きな違いです。
基本的には、仕事内容や勤務先も同じですが、看護師と准看護師は求められる能力が異なるため、現場での役割に大きな違いがあります。
双方の役割の違いは、日本看護協会の看護業務基準を見ると明らかになります。
看護師は「科学的根拠に基づき、看護を計画的に実践する基礎的能力」が求められるのです。
一方の准看護師は「医師、又は看護師の指示を基に療養上の世話や診療の補助を対象者の安楽を配慮し安全に実施することができる能力」が求められます。
看護師はできて准看護師にはできないこと
看護師にはできて、准看護師にはできないことは「自身の判断で業務の進行」です。
看護師は自身の判断で業務を進められますが、准看護師は自身の判断では業務ができません。
看護師は患者さんの体調が急変した際に、自身の判断で業務を進めることが可能です。
しかし准看護師は、医師や看護師の指示がないと業務を進められません。
指示を受けないと業務をできないのは、「保健師助産師看護師法の第六条」に記載されている通りです。
看護師と准看護師の給料の違い
結論から言うと、看護師と准看護師の給料は月給で約6万円、年収で約90万円ほど違います。
もちろん、国家資格を要する看護師のほうが給料水準は高めです。
看護師の平均給与は以下の通りです。
- 月給:約34万円
- ボーナス(年間):約85万円
- 年収:約499万円
なお、看護師の給料の詳細は下記の記事を参考にしてください。
准看護師の平均給与は以下の通りです。
- 月給:約28万円
- ボーナス(年間):約62万円
- 年収:約406万円
免許の発行元だけでなく、指示を出す立場と指示を基に働く立場なので、給料に違いがあるのは当然です。
さらに、後述するように看護師は管理職への昇進が見込まれるので、こちらも給料の違いに影響しています。
准看護師になるのは難しい?「試験の合格率は99%」
准看護師になるには、本記事の冒頭で解説したように、都道府県試験に合格し准看護師免許を取得する必要があります。
各都道府県で実施される准看護師試験ですが、2021年の合格率は99%と非常に高いです。
参照元:https://www.guppy.jp/pns/og/%E5%87%86%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%B8%AB%E3%81%AE%E8%A9%A6%E9%A8%93/
つまり、圧倒的な高確率で准看護師免許は取得できます。
准看護師免許を受験するには、中卒の方は「准看護師養成所で2年or高校の衛生看護科で3年」の課程を修了すればOKです。
高卒の方なら、准看護師養成所で、2年の課程を修了すれば受験できます。
最短だと、3〜4年後には准看護師になれる計算です。
准看護師養成所は、中卒程度の学力で入学できますし、准看護師試験の合格率も99%。
以上のことから、准看護師になるのは難しくないと言えます。
准看護師のデメリット2つ
- 昇進ができない
- 看護師に比べて給与水準が安い
以上のデメリットがあります。それぞれ順番に解説します。
昇進ができない
准看護師では、管理職への昇進ができません。
どれだけ勤続年数が長くても、指示がないと業務を進めることができない准看護師では、社会的な出世は見込めないかもしれません。
看護師に比べて給料水準が安い
先述したように、看護師と准看護師は月給で約6万円、年収で約90万円の差があります。
立場の違いを考えれば当然ですが、看護師に比べて給料水準が低いです。
准看護師のメリット4つ
- 中卒でもOK
- 就職が容易になる
- 短期間で免許の取得が可能
- 働きながら准看護師を目指せる
准看護師にはデメリットもありますが、それ以上に上記のメリットもあります。
それぞれ順番に見ていきましょう。
中卒でもOK
准看護師は中卒でも目指せるので、事情があって高校を中退した方もチャレンジできる職業です。
中卒には不利な職業も多い中で、学歴に関係なくチャレンジできるのは魅力的です。
そのあとの努力次第では、看護師へステップアップも可能なため、中卒から年収500万円も狙えます。
つまり、大人になってからでもチャレンジできるのは大きなメリットです。
就職が容易になる
准看護師免許を取得すれば、就職には困りません。
その理由は、多くの病院が看護師の人手不足に悩んでいるからです。
都道府県知事から発行される准看護師免許ですが、全国の病院に就職できます。
だからこそ、看護師の卵である准看護師免許を所持する方は、医療業界にとって貴重な存在だと言えるでしょう。
短期間で免許の取得が可能
養成校に通う期間が3年の看護師に対して、准看護師は2年です。
つまり、短期間で就職に有利な免許を取得できます。
働きながら准看護師を目指せる
准看護師養成所は、全日制と半日制に分かれています。
半日制なら夜間に授業を受けられるので、働きながらでも准看護師を目指せます。
そのため、パート主婦の方やキャリアチェンジを検討する方も生活費を稼ぎながら通えるでしょう。
准看護師は恥ずかしいのか?
結論として、准看護師だから恥ずかしいわけではありません。
確かに看護師のほうが難易度は高いですし、医療業界では立場が上です。
それでも、准看護師は医療の現場に必要な仕事です。
准看護師の業務をして、あなたの目的が果たされていれば問題ありません。
つまり、自分自身が仕事に誇りを持っていればOKです。
准看護師から正看護師にステップアップする方法3つ
准看護師から正看護師にステップアップするには、看護専門学校に通い、看護師試験に合格する必要があります。
看護専門学校を修了するには、主に3つのコースが存在します。
最短だと、2年で准看護師から正看護師へステップアップ可能です。
2年制・全日制(最短コース)
最短は、2年制で全日制の看護専門学校に通う方法です。
ただし日中に通うため、准看護師の仕事を1度離れる必要があります。
収入が一旦ストップしても、看護専門学校に通う2年間、生活に困らない方は最短コースの2年制・全日制の看護専門学校がおすすめです。
3年制・定時制
定時制は3年通う必要がありますが、授業を昼間・夜間に選べるため准看護師の仕事を続けながら通うことが可能です。
ただ日中は准看護師の業務をこなし、夜間は正看護師を目指して勉強の日々なので、ハードスケジュールになります。
2年制・通信制
准看護師の経験が7年以上あれば、通信制の養成所を修了すると、看護師試験の受験資格が得られます。
通信制は、看護専門学校や看護短期大学に設置されています。
2年間で50日だけ登校すればOKなので、余裕をもって正看護師を目指せます。
まとめ:准看護師は看護師ではないですが仕事内容は同じです
准看護師は、都道府県知事から免許が発行されるのに対し、看護師は国から発行されます。
また准看護師は、あくまで医師や看護師の指示がないと業務はできません。
そのように准看護師は看護師ではないですが、患者さんの看護をする基本的な仕事内容は同じです。
准看護師試験の合格率は99%と非常に高めなので、ぜひチャレンジしてみましょう。
出世したい方や収入を上げたい方は、そのあと正看護師へステップアップするのもあります。
なお、看護師の仕事については当ブログでたっぷり解説しているので、ぜひ参考にしてください。